Picoti-Picota

地面に、散らばるエサ、つつけ、つつけ、ツンツンと

私を嫌いなあの人とあの人を嫌いな私

少し前にテレビで誰かが言ってた。

「嫌いは両思いになる」

たしかに。

 

私は幸いにも、おおむね人に好かれる人生を送れている。

自ら声をかけていくタイプではないけれど、見た感じも善良だし(我ながら)、人を不快にさせる言動はあまりしないし、付き合いが良い。

異性にチヤホヤされるというモテ度は低いが、集団の中で愛される側の人間なのだな、と大人になって気が付いた。

 

でも昔から、特定少数の相手からは猛烈に嫌われる。

相手がどれぐらい自分を嫌っているかは確かめたことがないのでよくわからないが、すごく嫌われてるな、と感じる。

同時に、私も相手を嫌いだったりするので、そうなればバトルはしたくないのでただただ離れる。

そうしてお互いが袖を触れ合わせずにやり過ごしてきた。

 

今思っても、私が嫌いになったから嫌われたのか、嫌われているから嫌いになったのか定かではない。

どことなく「合わない」「苦手」という印象が拭い切れないまま、何かのきっかけで足を引っ掛けあい、こじらせてしまったかな。

純粋に相性が悪い相手とうまくやれないタチなんだろう。

 

今も、およそ一名が私を嫌っている。私も彼女が嫌いだ。

今までなら、合わないなら距離を取り、互いに干渉しないでいれば良いだけのことだった。

今回は違った。相手が積極的にこちらへ絡んできていた。そもそも私は相手にあまり好かれてないなと感付いていたし、だから関わらずにいようとしていたのに、あるきっかけで絡まれ始めた。

それも、悪意のある絡まれ方なら対抗措置も取れるのに、上っ面は善意と親しみを持って近づいてくるからタチが悪い。めんどくさい。ほっといてほしい。だから嫌いになった。

 

通っているスポーツジムでのいざこざなのだけど、理由は単純。

彼女がお気に入りのトレーナーに、私がパーソナルトレーニングを担当してもらっているから。

たったそれだけ。私とトレーナーの間に、人が疑う何かがあるわけではない。ただ、担当してもらっているだけ。でもそれが気に入らないんだとか。

よくある話といえばそうなんだろうね。

ジム内を常に我が物顔でうろついて、惰性で運動して、あとは人としゃべりに来ているタイプの人だというのは、私が通い始めて間もなくわかった。

顔は広そうだけどあまり関わるのはよろしくないと思っていたので、時々目が合えば挨拶をする程度のまま何年かやりすごしてきたんだけど。

元々好かれてなさそうだな、と感じたのは、それもそのトレーナーの存在が理由だった(らしい)。

 

彼女が私に絡んでくる少し前から、パーソナルトレーニング中にずいぶん厳しい視線で観察されてるなと思っていた。

そしてある日突然話しかけてきて、トレーナーの悪口を言い出した。

「あいつは下手だから、他のトレーナーにした方がいい」

だいたい同じ意味のことをレパートリー豊富に、しばらくは私がジムへ現れる度にプレゼンテーションをしてきた。

私は、基本的に人当たりが良いので、なんか変だなと思いつつも笑顔で対応素直に話を聞いていた。

ああ、トレーナーを変えさせたいのか、という意図はすぐにわかった。その理由は、「まさかね」と思わなくもなかったけれど、彼女の態度があまりにも親切ごかしだったので、本当にトレーナーは無能なのか?私のために言ってくれてるのか?と危うく信じるところまで持っていかれた。

 

この時はまだ、「嫌い」ではなかったと思う。お互いに。

私がはいはいと素直に話を聞いているし、こいつもうすぐトレーナー変えるな、と相手が思い込むぐらいまでの反応はしていたと思う。

これは八方美人な自分の責任でもあるけれど、そもそもトレーナーを変えるつもりはないし、ジムに巣食うヌシみたいな人ともめるのも面倒で、相手が喜ぶ反応をしてしまっていた。

なにしろ、いつも一人で来てもくもくと運動をして(何人かは言葉を交わす人もいるが)一人で帰るジムタイムにずかずか入り込んで日々説教だ、心も疲れる。

 

私が「もう疲れた、トレーナー変えてもいいかも」と本気で思い始めたが寸止めできたのは、当のトレーナーのおかげだった。

私の異変に気づいて、「誰かに何か言われていないか」と問いただしてくれた。

実はね、と話すとトレーナーはうんざりした顔で、これが初めてではないと話してくれた。だから、彼女がトレーナーに執心していること、そのトレーナーが担当する女性会員を発見すると親切な顔で近づいてトレーナーの悪口をいって変えさせる、という企みをすることを知った。

正直、ばっかじゃねえの、と思った。

彼女は自分の行動により、当のトレーナーに嫌われてしまっているのだから。

通常、トレーナー側にとっては私も彼女も会員としては同じだ。だから、きっと言ってはいけないはずなんだけど、よほど腹にすえかねてたのか、「もううんざり」「やめさせたい」と言うほどだったので、まあ大変だったんだろうね。

 

その後トレーナーはその人に厳重注意をしたらしく、ぴたっと彼女からのつきまといはやんだ。

しかしその時から私は嫌われた。

話しかけてはこないが、しばらくは行動を監視されていた。トレーナーが絶対に目が届かないところでは何度か話しかけられて、懲りずにプレゼンテーションをされた。

でも、嫌われているのはよくわかる。

その時のパーソナルトレーニングは期間限定でやっていたので、やがて終了した。彼女はある時、私から終了の確認をとった。

それから、ぱったりと声をかけてこない。前なら、ジムエリアの端から端でも追いかけてきたのに、今は目の前ですれ違っても挨拶さえしてこない。

トレーニングは終わったから、邪魔をする必要がなくなった。

なら、嫌いな女に声をかける必要は皆無。

そういうことなんだろうね。わかります。

 

だけど、今もまだねちっこい監視の目は感じてる。

トレーナーと二人でしゃべっているとき、だいたい私の視界に届く範囲にいる。

 

トレーナーとは、別のメニューでトレーニングを再開する予定なのだけど、彼女がそれを知ったらまたどうなるのか、うんざりとおもしろがるのと半々。

 

単純に、本当にトレーナーを変えてしまえばいいのかもしれない。

私もいまだに、少なからず彼女の存在をストレスにしているし。

でも嫌いな人を喜ばせる道理はないので、トレーナーを変えるつもりはない。トレーナー自身に問題があって変えたいと思えばまた別だけど。

 

トレーナーに打ち明けた時「こうなるかもと思っていた、最初に言わなくてすみません」と言われたのだけが、トレーナーに対してオイオイ、と思っている。

そもそも、私は以前からそのトレーナーにアドバイスをもらったりしていたけれど、本当は別の専任スタッフに頼もうかと思っていたトレーニングだったから。トレーナー自ら、自分でも担当できるよと言ってきたので、まあ勝手知ったる相手のほうがやりやすいか、と頼むことにした。

妨害が予測されるのなら、自ら営業をかけるべきではないのだ。

そりゃあまあ、自分の収入につながるから顧客がほしいのはわかるんだけども。微々たる収入よりも、ゴタゴタが起きてその処理をしたり、万一私が心の弱い人間で「こんなジムやだ」とやめたらそのほうが損益につながると思うんだけどなあ。

 

結論として、スポーツジムで人と深く関わるのはやめるべき、ですね。

あんなみっともないババアにはなりたくない。